OBAKE HUNTER GIRLISH #2 

『桜金滅鬼』 - The Blade of Full Petal Jacket -

​三、因果

 翼船(はね)に導かれた山奥に待っていたのは、薄桃色の洪水だった。
満開の桜――
初めて見るその光景に、わたしは一瞬で心を奪われた。

「我々は桜退治と桜金錬成の技術を引き継ぐ、桜狩りの一族『ヨシノガリ一座』なのです~っ!」
イヨッ!もちちゃんの言う通り!といった中年オヤジの合いの手を受けてにへらぁと笑うこの少女は、「ヨシノガリもち」という名前らしい。わたしは今、理由あって単身、桜の専門家にレクチャーを受けている。
永はといえば、翼船を降りるなり「お先ー!」と言い残して走り去ってしまったのだ。無茶をしなければいいが……。

永を探して山を彷徨っているうちに、わたしは不思議な邂逅をする。それは満開の桜の下で酒宴を設けている一団だった。
「桜はとっても危険な植物で、近づくものみな食べちゃうのです! おっかないのです~!」
大人たちは皆一様に泥酔しているので、唯一の未成年に話しかけたのだが、どうやらこの娘も酔っぱらっているらしい。
完全に未成年飲酒だが、いいのだろうか……。
けれど、話を聴いているうちに彼らは襲い来る桜を返り討ちにしてそれを貴金属に錬成して商売をする、いわゆる『桜狩り』のキャラバンだということが分かってきた。
ただ、この場は酒気でわたしまで酔ってしまいそう……。

 

 と、その時、酔いを醒ますかのような闖入者が現れた。
「いたいた、楽運~! 大変なことになっちゃったぞ~!」
永だった。
しかしいつもと様子が違う。
その手に持っている武器、名匠アルハ髄の最高傑作と言われる『神形剣(カミナリノツルギ)』
二重羽々斬剣が、真っ二つに折れていた。

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